君を我寵愛せし 11

「ああ、すっかり震えてしまって可哀想に……」
公爵は優しい微笑みを浮かべて僕の頬を拭うが、今さっきまで掴まれていた首はヒリリと内部が痛み、僕はその恐怖を未だ拭いきれなかった。固まったまま動かない僕を公爵はまるで人形遊びをするかの様に胸に抱きこむと、胸元を飾っていた紐を解き、するりを服の中に手を差し入れて来た。
「なんですかっ??」
ひんやりとした貴族にしては無骨な手が遠慮もなく僕の身体の上を滑り、あまり隆起の無い僕の胸をしつこく撫でまわしてきた。
「大丈夫、少しだけだから」
「えっ?」
「良い機会だからね、少しだけ見せて下さい」
ニコニコと笑っているが瞳の奥には陰湿な影が潜んでいた。
僕が身構えると、公爵はこともあろうか僕の下履きの中に徐に腕を差し入れると、下肢にある僕の未発達と言われている性器の部分へと触れて来た。
「いやですっ!!」
顔色が変わるのが自分でも分った。
咄嗟に両手を突っぱね、公爵から少しでも離れようとしたけれど、力の差でそれは叶わなかった。
公爵の手は僕の抵抗も虚しく、小さなそれを掌の中に包み込み、形を確かめるように握り締め触り揉みしだいた。
「本当に小さいのだな……まるで幼子の様だ」
「やっ、何をするんですか?!」
「確かめている。これは、機能はあるのか?」
「無いと言われました」
「射精は?」
「した事はありません」
「そうか……」
ふむっと何かを確かめるように公爵は僕の性器を包んだまま上下に動かし始めた。
「やっ!辞めてっ、答えたのですから確かめる必要があるのですか!!」
「ブノワが調べたと言っても私がその現場に居た訳では無い。、私の妻の事だ何もかも調べておかないとね……、本当に射精出来ないのなら安心だが、出来た場合間違いを起こして他に子でも作られては我家の恥だからね、此方でも調べさせて貰うよ」
「そんなっ」
目の前が真っ暗になり、もう黙るしかない。妻としてと言われて僕が何かを反抗するすべは無かった。
下半身に感じる違和感を目を閉じてぎゅっと我慢する。
滅多に触ることの無い性器を公爵は戸惑いも無く掴み、そして弄り始めた。
「ひっ!」
「大丈夫傷つける訳ではないから」
包まれた性器が公爵の手の中で擦られ始めた。上下にそして時折指で弄られ、僕は感じた事もない感覚を味う。
下半身がカッと熱くなり、お腹の辺りがキュッと縮みあがる。弄られている性器はもやもやと言いようの無い感覚に侵され、僕はジッとしている事が出来なくなってきた。
「ジッとしていなさい」
バタバタし始めていた足に気が付いた公爵は器用に僕の足を己の足で押さえつけてしまう。
「ううっ……っ苦しい……」
熱くて、もやもやして逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
気が付いたら目元も熱い。
情けない事に涙が浮かんできているのだ、見られたくなくて顔を公爵から背けるとそれは突然起こった。
ギュッと先端をキツク握られて、性器の先端を乱暴に擦りあげられたのだ。
僕の性器は途端カッと熱くなり、僕の身体はその衝撃に飛び上がった。
「ひゃっああっ!!」
「おっと」
何か先端から出た。
カッと熱くなって、まるでトイレで用を足したように先端から液体が漏れ出た。
勘違いでは無い、僕の性器の周辺はぬるっとしている。
「なに……なぁに??」
訳が分らなくて、僕は思わず公爵に縋った。
「ふふ。初めてなんだね、可愛い子だ……」
困った様な笑いにやはり自分は粗相をしてしまったのだと分った。途端堪えていた感情が崩壊して、目からは涙がボロボロと溢れてくる。
「ふぅぅっ…っいやぁ……ごめんなさい、ごめんなさい。僕っ、こんな年になって祖祖をしてしまって……ひぃっ…うっ!」
恥ずかしくて仕方ないのに公爵は擦る手を辞めようとしない。祖祖をした液体を擦りつけ僕は泣きながらも腰をはしたなくうねらせてしまう。
「本当にごめんなさい、許してっ……下さい」
公爵に懇願しそれが叶わないと知ると駄々を捏ねる子供の様にぐずると、漸く手を離してくれた。
ホッとしたと同時に僕は恥ずかしくて早くこの場から逃げ出したかった。
「どうやら全くの不能では無い様だな、ブノワこれが射精というモノだ、粗相をした訳ではない」
公爵は動揺した僕等お構いなしに、掌を見て笑っている。掌の中は僅かではあるが、液体がこびり付いていて、あれが精液と言う物なのかと僕は唖然とした。
「まぁこれしか出ないのであれば間違いが起こってもまず妊娠は無いだろう」
胸元からハンカチを出した公爵は簡単にそれを拭いそして放り捨てた。
漸く終わった。
これでもう何も今晩は無いのだろう。
僕がホッとしていると、信じられない言葉が耳い入って来た。
「気持ち良かっただろう。次はお前の女の部分だ……」
ゆっくりと完全に下履きを脱がせられてしまうと、公爵は戸惑いも無く僕の足を持ち上げられ、観察する様に下半身に隠れた僕のもう一つの性が曝け出される。
「ああっ……」
両手で顔を覆うしかなかった。
心が追いつかず、羞恥心だけが僕を襲う。
「お前のココが私を受け入れるかどうか、楽しみだよ」
耳元で公爵の声が響いた。